ヨーロッパ農業留学(2019)

春来の農場訪問記① 〜Lewes, England〜

こんにちは、春来です。みなさん突然ですが・・

イギリスで日本野菜を育てている農場があるんです!!!

今回私は、イングランドの南にある、Lewes(ルイス)いう地域の農場に、1週間ほどファームステイしてきました!
本当に興味深く、素敵で、とても学びのある経験をしてきました。皆さんに知ってもらいたいので、ご紹介します。

イングランドの南です!

その農場の名前は、NamaYasai

Robinと、いくこさん

NamaYasaiは、2005年に設立されました。日本人のいくこさんと、イギリス人のRobinのご夫婦で経営していらっしゃいます。
全体の農場の広さは24ヘクタールほどで広いですが、森林なども含みます。
今使っている畑の大きさは6ヘクタールほどです。

日本野菜を中心に栽培しており、

大根、かぶ、ミズナ、にら、しゅんぎく、からしな、わさびな、しそ、きゅうり、枝豆、ししとう、なす、かぼちゃ、こまつな、ごぼう、長ネギ、ほうれんそう、タアサイ、三つ葉などなど。

まさに日本で食べてる野菜だ!イギリスにそんな農場があるなんて!

イギリス・ロンドンのレストランに卸したり、家庭向けの野菜ボックスの配達を行っています。イギリス在住の日本人の方々が、日本野菜を懐かしんで契約するケースが多いんだとか。

農場スタッフはご夫婦以外に、今のところ7人ほどいます。季節によってメンバーが入れ替わります。
お金をもらって働いているスタッフや、ボランティア(代わりにお部屋とご飯を提供してもらえる)の方がいます。みんな若く、日々共に働き学んでいます。

私がこの農園と繋がり、訪ねた経緯

前回働いていた農場、Canalside Community Foodのメンバーの一人であるJudyがシェアしてくれた記事がきっかけでした。そこでは、この農場のことが紹介されていました。

「イギリスで日本野菜?気になりすぎる・・・」

そしてさらにNamaYasaiのホームページを覗いてみると、自然農法をとり入れていたりと、まさに知りたいことだらけ。
さらにそこには、「農作業・畑の見学も大歓迎です」と書いてあり。
(http://www.namayasai.co.uk/Jp/index.html よかったら覗いてみてくださいね🤗)

・・・これは、運命や!!いくっきゃない!と思い、
早速「あなたの農場にとても興味があります、数日間働かせてください。」とダメもとで、メールを送りました。
急な連絡で、見ず知らずの人間からだったにも関わらず、快くOKを出してくれました!

いくこさんとRobinのお家はLewesという小さな美しい町にあり、農場とは数キロ離れています。

Lewesは、街並みが素敵で、個人店も多い小さな町。

泊まるためのお部屋を貸してもらったり、美味しいご飯も作っていただき本当に本当に助かりました!

農場での風景

農場では朝3時半から収穫が始まりました!!日によって、契約先の注文量が変わるので、収穫の始まる時間も変わります。

真っ暗の中ヘッドライトをつけて、分担して野菜や果実を収穫しまくる!

朝8時くらいまでには、全ての野菜がバンに積み込まれ、配達されていきます。

みんなで朝ごはんを食べたあとは、色々な作業があります。畑の雑草抜き、播種、草刈り、移植など・・仕事は尽きません。

初めてscytheという道具を使って草刈りをしました。でっかい鎌みたいなもので(まさに死神が持ってそうな)
昔ヨーロッパの農夫がよく使っていた道具らしく、最近見直して使い出す農家さんが増えているんだとか。
コツがいるので最初は難しかったけど、徐々に慣れてハマってずっとやってました笑 全身を使うので、気持ちがいい!

なぜ草刈機を使わないのか聞いたら、①音がうるさくない ②身体の使い方を学べる ③細かいところまで草刈りができる ④リフレッシュできる ⑤燃料を使わないから とのこと。

仕事が終わると、農場でキャンプをしました。農場で取れた野菜でキャンプめし!

うま〜〜〜!!!!

農場は森の近くにあり、めちゃくちゃ自然豊か。キャンプするために来る人もいるそうな。ちなみに、スタッフの何人かは農場にキャンプして暮らしています。

自然と寄り添う農業

この農場では、自然農法(National Agriculture)を取り入れています。
化学肥料や農薬は使わない。プラスチックのマルチも使わない。できるだけ自然に近い状態で、野菜を育てています。

農薬を使うと、雑草抜きの手間は省けるし害虫もいなくなる。化学肥料を使えば、野菜は簡単に大きくなる。農家さんにとっては大助かりなのですが・・・

でも農薬は人間にとっての益虫(いい虫)も全て殺してしまう。それに、雑草を住処にしている虫達にとっては、家やご飯がなくなってしまう。その虫達を食べて生きている他の動物達はどうなる?いわゆる生態系が崩れてしまうっていうことですね。その結果、土は痩せ、不健康になっていきます。農薬なしではやっていけない、負のスパイラルに。

化学肥料は野菜が大きくなるのを手助けしますが、もともと自然界には無いものです。
水菜を生でかじった時、本当に美味しくてびっくりしました。味が深い。旨味がすごい。自然の競争の中で、自分の力で大きくなった野菜だからこそです。スーパーではなかなか買えません。
ロンドンの人気レストランのシェフがこの野菜達に惚れ込む理由もわかりました。

そもそも雑草とか、益虫害虫とか、人間が勝手に決めつけてるだけで、彼らからしたらいい迷惑ですよね・・最近本当によく思います。

このお花はエディブルフラワー(食べれるお花)!
レストランでよく使われるらしく、これらも出荷されます。
畑には色んな野草が生えていて、ほとんどが食べられる。

だからといって、畑を放ったらかしにする訳ではない!!
一体どのようにすれば、農薬無しで野菜が虫に食い尽くされないか、どの植物が天敵の住処になるのか、どのタイミングでタネを植えれば野菜は雑草に負けないのか・・・
自然の恵みをうまく利用する農業でもあり、どうやって農薬や化学肥料に頼らずに、質の高い野菜を作るかへの挑戦でもあります。
とにかく知識がなければ、やっていけないし、体力と根気がいる農業です。

この様な農業は、手間もコストもかかる。その分野菜の値段も、慣行栽培(いわゆる、化学肥料や農薬を使う農業)で作られたものより高くなってしまいます。しかしRobinは、自分の野菜の値段を下げて、沢山の人に手にとってもらいたいのだと言っていました。そうすれば、その美味しさを知ってもらえて、環境に優しい農業も増えるから。
しかし、農場もお金を稼がないといけないわけだから、この値段の兼ね合いが難しい・・。

畑ツアーに連れ出してもらい、農場の説明をしてもらいましたが、Robinの知識の膨大さに圧倒されました。彼は全ての植物、生き物の名前を知っている!凄すぎます。

農場を訪ねてきた人たちと一緒に農場ツアーに連れ出してもらう。

NamaYasaiの歴史

イギリスで、いくこさんとロビンは出会いました。いくこさんは国際協力関係のお仕事、RobinはIT関係の仕事をしていましたが、仕事を辞め新規就農をすることに決めたそうです。
自分たちがどうすれば、生き残っていけるか。 その答えが、日本の野菜を育て売ることだったらしいです。

農業を始めた頃は、家の広い庭を使って野菜を育てていたそう。徐々にマーケットに売り販売量が増え、農場を買いました。
ゼロからのスタートで、試行錯誤の日々。とにかく沢山の文献や、本を読みあさって情報収拾をしたそうです。

農場全般の管理をするRobinと、注文を取りまとめや、日本人とのやり取りを担当するいくこさん。お互いにうまく得意分野を分担しています。

ITのお仕事をしていた頃は、とにかく自然が恋しかったというRobin。もともと豊かな自然環境が大好きで、農業を始めるなら、環境に優しい持続可能な農業をしようと決めていたそうな。

この農場には、毎日のように代わる代わるいろんな人が訪れます。農業に興味がある人、忙しい都会の日常から逃れて来る人、中にはレストランのシェフも!
この農場を介して沢山の人が集まり、繋がっていく。とても素敵だなあと思います。

私が将来やりたいことって・・?

Robinに農場を案内してもらいながら、いろんなことを話しました。私はいろんなことを質問したんだけど、逆にRobinにもいろんなことを質問されました。

「春来は将来どんな農業がしたいの?」
「なんで農業に興味を持ったの?」
「なんで環境問題に関心があるの?」
「どこでどんな野菜を売りたい?誰に売るの?」
「日本の食料生産のことをどう思う?オーガニックは普及してるの?」

私:「・・・・・・。」

うあああああああん!!!

そもそも英語力以前に、(Robinとは英語で話します)
日本語でも考えられてないじゃん、私。自分の意見はあるのだけれど、言語化できていない。だから人に説明できない。
前もちらりと書きましたが、日本のことも全然知らないなあと気づかされる日々。大学で何学んでいたんだろう。農学部にいたのに私はなにしてたんだろう・・😢 悔しいなああ。

ぼーっと生きてんじゃねえよ!ってまさにこのことか。
こういう大事なことって、努力家でアンテナ立ててる鋭い人と話している時に特に感じること。自分にがっくりくるけど、嬉しくもある。ワクワクしている自分がいる。自分が成長できることがわかるからかな。

Robinは、とにかく丁寧に質問の全部に答えてくれて、参考文献やオススメの本を教えてくれた。

お家には沢山の本が・・!作業が休みに日に読んでましたが、
多すぎて読みきれない。

「NamaYasaiはなんでこんなにオープンで、私のような新しい人にでもそんなに親切にしてくれるの?」とRobinに聞くと、

「かつて自分が色んな農場を視察した時に、うまくコニュニケーションが取れなかったり、外部からの人に閉鎖的なところもあったんだ。だから自分はもっとオープンに、色んな人を受け入れようと決めた。自分たちのことに興味を持ってくれている人には、自分ができることをやりたい。」

優しくて、ユーモアがあって、私の拙い英語も真剣に聞いて、目をみてしっかり話してくれる。本当に賢く才能があり、ひらけかさずに、沢山の人に好かれる人。かっこよすぎる。こりゃ、ファンは増えるわ。

また好きな農家さんが増えました。

最後に

突然のメールにも対応してくれて、おまけにお家に居候させてもらって、本当に本当にありがたかったです。
以前働いていたCanalside Community Foodも、少量多品目で、環境に優しく、農場を介してコミュニティを形成している農場だったので、また違う農場を見れたことは本当に貴重な体験でした。
色んな農場や、取り組み、農家さんとお話しすることってとても大事なことだと気づかされました。

とりあえず、私が現時点でぼんやりと考えていること!!

春来の将来やりたいこと〜〜!

  • 小規模多品目で、自然と共生する方法で、野菜を育てたい👉なぜなら私は自分が食べるものは自分で作りたいからだ!
  • この農場を通して、色んな人が(老いも若きも、色んな国の人も)集まって、多様性を認め合えるような。
  • この農場を通して、失われつつある日本の伝統文化(伝統料理や、暮らしの知恵など)をみんなで学んで守って行けるような。
  • 日本の田舎や自然の美しさを知って、魅力を感じる若者をどんどん増やせるような。
  • 自然と共生する、エコな暮らし方や、新しいライフスタイルを実践して、発信できるような。

んで、こっちにいる間にも、日本に帰ってからも、色んな人に会って話して聞いて考えて、色んないいアイデアをつまみ食いしながら、この夢を叶えていけたらいいなあと思う。ワクワク!!

そして、私は将来、NamaYasaiの皆さんのように、興味を持ってくれる人には必ず親切にする!それが、これまでお世話になってきた人たちへの恩返しになるはずだから。

農場の朝焼け。心が洗われる・・

こんな感じで、まだまだ春来の旅は続くのであった・・。次回もお楽しみに!

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です