こんにちは。
イタリア語に四苦八苦し、
美味しいご飯に日々嬉涙し、
ぶどう摘みすぎで、そろそろ顔がぶどうになりそうな春来です。🍇
突然ですが皆さんは
Slow Food運動
と聞いたら、何を想像しますか?
ゆっくりご飯を食べろってこと?🍽
マック食うな運動でしょ?🍟🍔
って思ったやろ?
ふふふふ・・・いえいえ、もっともっと面白くて、素敵な考えなんです😊
今回は、イタリア発祥の、このユニークな運動について
皆さんにシェアしたいと思いま〜〜っす!!
Slow Food運動のおこり🐌
イタリア、1986年。
ローマのスペイン広場に、イタリア初・マクドナルド第一号店ができることが決まりました。
皆さんも少しイメージあるかもしれないけど、イタリアには、
イタリアの郷土料理や伝統、遺跡などを誇りに思って大切にする人がとても多い。
しかも、あのスペイン広場!
かの有名な映画「ローマの休日」で、オードリーヘップバーンがジェラート食べてたスペイン広場ですよ!
多くのイタリア人は動揺し、怒り、抗議運動を行いました。
「ファーストフードは旧市街の品位を落とす」 と。
そんな強気な人々なもんだから、
そもそも世界のマクドナルド様は、イタリアへの進出に手を焼いていたようで。
まあ結果、
人々の猛烈な抗議の甲斐無く、マック第一号店はできてしまったんですね。🍟
(ま〜私も、わざわざそんな有名な遺跡の前に、マック建てなくてもよくね?って思いますけどね・・・😬)
んで、ところ移ります。
イタリア北部、ピエモンテ州、ある田舎町のブラ。
ある青年のグループが、レストランで、
あの全イタリアを揺るがした「マック事件」について議論しておりました。
そうすると、誰からともなく、
「Slow Food」
という言葉が出てきたんだそうな。
それが全ての始まりだった。
一体なんなのSlow Foodって!
1989年、イタリアにて、Slow Food協会が発足しました。
これは食文化のボランティア団体です。
- 発足年 1989年
- 本部 ブラ、ピエモンテ州🇮🇹
- 代表者 カルロ・ペトリーニ
- 形態 NPO法人
- ネットワーク 150国以上、1500支部以上
- シンボル カタツムリ🐌
代表者のカルロさんは、その「Slow Food」という言葉が誕生した場にいた、青年の一人だったそうな。
この運動に共鳴する人たちは、年々増えて、今では世界中に広がっている。
日本支部もあるんです! (Slow Food Nippon)
地域の食文化や伝統の消滅を防ぎ、
ファストフードやファストライフの席巻を阻止し、
自分たちの食べている物について、それがどこから来て、
私たちの食べ物の選択がどのように世界に影響を与えるかについて考える
のを目的に作られた団体です。
なんだか壮大なテーマのように思えますが、彼らは、
『おいしい、きれい、ただしい』という3つのキーワードを使って、以下のように説明しています。
おいしい😋 (Good) | 私たちの味覚を満足させ、地域文化の一部となっている、新鮮で風味豊かな旬の食べ物 |
きれい 🌿 (Clean) | 環境、動物の福祉、または人間の健康を脅かすことのない食料生産および消費 |
ただしい 🤝 (Fair) | 生産者にとって公正な条件と報酬、および消費者にとって手ごろな価格 |
ふうむ・・どうやら単なるファストフード反対運動ではなさそうだ。
スローフード宣言
このスローフード協会は、スローフード宣言なるものを発表しています。
これを読むと、彼らが求めていることがなんとなくわかってきます。
スローフード宣言🐌
我々の世紀は, 工業文明の下に発達し、まず最初に自動車を発明することで、生活のかたちを作ってきました。
我々みんなが、スピードに束縛され、
そして、我々の慣習を狂わせ、
家庭のプライバシーまで侵害し、
”ファーストフード”を食することを強いる
”ファーストライフ”という共通のウィルスに感染しているのです。
いまこそ、ホモ・サピエンスは、この滅亡の危機へ向けて突き進もうとするスピードから、自らを解放しなければなりません。
我々の穏やかな悦びを守るための唯一の道は、
このファーストライフという全世界的狂気に立ち向かうことです。
この狂乱を、効率と履き違えるやからに対し、
私たちは感性の悦びと、ゆっくりといつまでも持続する楽しみを保証する
適量のワクチンを推奨するものであります
我々の反撃は、”スローフードな食卓”から始めるべきでありましょう。
ぜひ、郷土料理の風味と豊かさを再発見し、
かつファーストフードの没個性化を無効にしようではありませんか。
生産性の名の下に、ファーストフードは、私たちの生き方を変え、環境と我々を取り巻く景色を脅かしているのです。
ならば、スローフードこそは、今唯一の、そして真の前衛的回答なのです。
真の文化は、趣向の貧困化ではなく、成長にこそあり、
経験と知識との国際的交流によって推進することができるでしょう。
スローフードは、よりよい未来を約束します。
スローフードは、シンボルであるかたつむりのように、この遅々たる歩みを、国際運動へと推し進めるために、多くの支持者たちを広く募るものであります。
(島村菜津著 「スローフードな人生!」より抜粋)
おおおおお。私、この宣言、とても好きだな。
押し付けがましくないし、なんとなくユーモアを感じさせられる。
つまり彼らは、
ファーストライフに支配されているこの私たちの生活を、
食卓から変えていきませんか、と提案しているんです。
彼らが戦っているもの
私がスローフードのことを知る中で、「スローフードな人生!」という本に出会いました。
その中に、著者がカルロさんにインタビューした時の文章が載っていて、
とっってもわかりやすいので、引用させてもらいます。
「スローフードは、あくまでもファーストフード反対などという狭い範疇にはとどまらないんだ。そこのところをよく覚えておいて欲しいな。
・・・・僕らが戦っているのは、強いて言えばファーストフードな考え方だ。世界規模の食の均質化だ。
ミラノ、ニューヨーク、東京・・・・と世界中どこに行っても同じ味じゃつまらんだろう。大都市というものには、そういう宿命を背負っている部分もある。
しかし、ウェールズの小さな村、ピエモンテ州のブラのような町、京都の田舎町でも、やっぱり同じものばかり売られているような状況は絶対に狂っているんだよ。
それは自分たちの立脚する文化そのものの喪失だし、豊かなコミュニケーション手段としての食の喪失なんだ。
・・・・この均質化という名の大洪水から、失われつつある質のよい食品を守る。これが我々の重要な仕事なんだ。
チーズに関して言えば、オランダやドイツは劇的にさまざまな味を失ってしまった。別に工業生産が悪だとは言わない。工業製品にもいいものだって、たくさんある。
だが、宣伝費もなく、時代の速度にもついていけない、質のいい小生産者が瀕死の状態であるのは、これも動かしがたい事実だ。
進歩に逆行しようとは思わない。ただ、より知的に進歩していきたいだけなんだ。」
「スローフードな人生!」より抜粋
いったん、立ち止まってみよう。
何もかもが、便利に、時間を節約できる世の中ですね。
一日あれば、飛行機で日本の端から端まで行けちゃうし、
24時間空いてるコンビニで、簡単に美味しいものを買えるし、
優秀な家電たちのおかげで、家事の時間は短縮された。
でも、こんなに便利になっても、
常に何かに気を取られて、何かに追われて生きている感じがするのは私だけなんでしょうか?
節約した時間はどこにいったんだろう。
いつから私達日本人は、ゆっくりと食事を取るのも、ままならなくなってしまったんだろう。
私たちはあまりにも、食べることを人任せにしてしまっていると思う。
子供のアトピーや、生活習慣病、サラリーマンの過労死・・・
現代の名前を持たないみんなの不調は、
必ず根っこに、狂った食があることにみんな薄々気づいているはずだ。
実は、今の食料生産は、結構やばいことになっている。
企業やメーカーは、消費者にわからないように、「安くて、美味しくて、綺麗」な商品を売る。
この資本主義の社会、たくさん売ってたくさん儲けなければ、生き残れないからだ。
安いのには、理由があるのだ。
大量に農薬を使えば、一気に虫や雑草は殺せて、人件費はかからない。
たくさん科学調味料を使えば、安くて、なんとなく美味しくて、見た目も鮮やかな食べ物が作れる。
科学技術の進歩を否定するつもりはないけれど、あまりにも今の食料生産のシステムは、いき過ぎちゃってる感がある。
人間らしいスピードで、知的に進歩することはできるはず。
その答えが、スローフードなんだと思う。
私たちに何ができる?
⭐️自分が食べてるものが、何からできてるのか知る努力をしよう。
⭐️自分で、ご飯を作ってみよう。毎日じゃなくていい。自分のできる範囲で。
⭐️大手企業のものだけじゃなくて、地域の生産者の食材を買ってみよう。
新鮮だし、遠くから持ってこられてないから、環境にも優しい。 地域の経済も活性化する。
難しく考えなくていい。
シンプルなものでも、みんなで、楽しく食べれば、それだけで幸せになれるってもんじゃない?
スローフード運動、なかなか面白いですね!もっとこの考えが日本でも広がっていけばいいね!
📚参考文献📚
島村菜津著 スローフードな人生! 〜イタリアの食卓から始まる〜